4-3ディフェンスと3-4ディフェンス

今回は4-3ディフェンスと3-4ディフェンスはどのように違うのかのお話です。

4-3(4-2 Nickel)Base

3-4(Okie Front)

まずは私のディフェンスの基本的な考え方を先に伝えます。

それは「プレッシャー vs QB」です。
それさえ達成出来れば3-4であろうと4-3でも別にどちらでもいいです。

パス、オプション、Zoneリード、全ての起点はQBです。QBにベストなタイミングで仕事をさせないこと、QBにヒットを浴びせること(ルール上OKな範囲で)が全てです。
それにはOLのパスプロテクションを突破してQBにプレッシャーがかかっている状況を作る必要があります。ではプレッシャーをかけるにはどうするか。
1on1もしくは2on1で強いDLが圧勝する、もしくはBlitzでOLのパスプロテクションやブロッキングスキームを破壊することです。

何か先に答えを言ってしまった感がありますが笑、4-3と3-4のメリット、デメリットを見てみましょう。

4-3のメリットその1:ランプレーに強い
・5人のOLに対して4人のDLを配置するのでLBにOGがすぐにブロックに来ることがないので、LBが自分のポテンシャルを発揮してボールキャリアをタックルすることが可能。特に3テクニックのDTが強ければランプレーをコントロールすることが出来る。
・ランプレーを主にタックルするディフェンスの中心選手のMLB(ミドルラインバッカー、通称マイク)はクレバーでプレーリードに優れてサイズもあり、サイドラインからサイドラインまでボールキャリアーを追いかけ回すスピードとタフネスを持ちます。そのMLBを中心とした安定的なランに強いディフェンスを構築することが出来ます。どっしり構えた横綱相撲といったところでしょうか。レイ・ルイス、パトリック・ウィルス、ルーク・キークリーなどいつの時代も強いディフェンスには最高のMLBが存在しています。

4-3のメリットその2:パスプレーは効率的に守れる
4人のDLがプレッシャーをかけ7人のセカンダリー(LBとDB)が後ろのゾーンを守れるので、インターセプト出来る可能性が上がります。
特にDEに優秀なパスラッシャーがいて4人で効果的にプレッシャーを掛けれれればブリッツでリスクを犯すことなく守ることが出来ます。ジョイ・ボサ、ニック・ボサ兄弟はNFLで今Hotな選手です。

4-3のデメリットその1:OLのブロッキングアサイメントが簡単
オフェンスの多くはまずは4-3ディフェンスを相手に設計されたものが多いので、OLからするとブロッキングアサイメントが簡単です。
複雑なブリッツもあまりないので、OLのブリッツアジャスト(対応)もそんなに難しくないです。また、ブリッツを入れまくると後ろはカバー1やカバー0になるので1 playでタッチダウンするリスクが上がります。
横綱相撲故に、スピード感に欠けたリードディフェンスに小さくまとまってしまう可能性もあります。

4-3のデメリットその2:特にMLBとDEに好選手が求められる
MLBがランディフェンスの中心、DEがパスディフェンスの中心なので彼らが機能しない、もしくはエラーが起こるとオフェンスにいいようにやられてしまいます。ここに好選手が揃わなければ厳しいシーズンになるでしょう。

3-4のメリットその1:ブロッキングアサイメントを組みづらい
3-4はアグレッシブなディフェンスなので、誰がブリッツして誰がパスカバーに下がるのかがわかりづらいです。2人のOLB(アウトサイドラインバッカー)は4-3のDEのような役割をするので、4-3ディフェンスに見せることも可能です。
Pro体型のような1TE2RBのフォーメーションの時はSをDEの位置にアップさせて4-3としてプレーすることも出来るのでマルチに使えます。

3-4のメリット:パスに強い
ブリッツを使いアグレッシブにプレッシャーをかけることが可能です。OLが一瞬でも躊躇したりブロックアサイメントを間違えれば、助走して勢いのついたLBがLOS(ラインオブスクリメージ)を割ってQBサックすることが出来ます。
QB目線では3人〜7人の何人でラッシュして来るのかがプレー前にわからないのも、ディフェンスには大きなアドバンテージになります。

3-4のデメリットその1:選手に求められる能力が多い
NGは中央を1人で守っているので、彼がやられるとインサイドのランプレーは止まりません。サイズがあり強い選手が求められます。ヴィンス・ウィルフォークやB.Jラジのような圧倒的サイズ感が重要です。DT(DE)はランプレーの時は4-3の3テクニックのようにダブルチームを処理し、パスラッシュでは4-3のDEのようにスピードラッシュが出来ないといけません。JJワットのようなDEもDTも出来る選手やアーロン・ドナルドのような最高のDTがいたら良いのですが、なかなか見当たらないのも現実です。OLBはエッジラッシュとパスカバー、時にマンツーマン出来るハイブリットな超アスリート能力が求められます。カリル・マックやボン・ミラーは理想形。3-4ではOLBがプレッシャーの鍵を握ります。ILBはOGがアンカバーなのですぐにダウンフィールドに出てくる為それを処理しなくてはいけません。それ故にサイズとヒットの強さを求められ、更にボールキャリアをサイドラインからサイドラインまで追いかけるスピードとタフネスが必要です。4-3のMLBタイプが2人程必要になります。上記の条件を満たした選手を揃え、尚且つ控えメンバーもそこそこ揃えるとなるとチーム作りから難しい面もあります。

3-4のデメリットその2:ランディフェンスが多少不利
OGがアンカバーだと早いタイミングのランプレーは距離がある分止めづらいです。また、後半になるとOGとヒットを繰り返すILBは消耗してきます。彼らの足が止まり始めるとランが出始めるようになるので、適度にリスクを承知でブリッツを仕掛ける必要があります。また、TE vs Sの1on1でやられてしまうとストロングサイドのランプレーが出ますのでLBが機能しないとディフェンスがハイリスクなギャンブルディフェンスになる可能性があります。

近年のNFLではパスオフェンスに対抗する為3-4を採用するチームが増えていますが、どちらを採用するにもメリットとデメリットがあります。
チーム事情やチームカラー、所属選手のレベルや経験値、人数等を見て総合的に判断することが良いと思いますので、どちらが正解ということはありません。
4-3しか指揮出来ない、3-4しかやりたくない等コーチのエゴだけでなく、選手がベストパフォーマンスを出せる状況をフィールドに作るようにコーチは心掛けましょう。
ただ、4-3、3-4共に共通して1つだけ言えることは「トレンチ・ファイト」(LOSの攻防)を制するチームが勝利に近くということだけです。

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