スケジュールの組み方「春シーズン編」

今回はスケジュールの組み方「春シーズン編」についてです。
私が2シーズン制に反対な立場なのはさておき(笑)、日本での春と秋の2シーズン制の現状を踏まえてどのようにスケジュールを組んでいるのかを、2019年シーズンを振り返りながら解説します。

さて、2019年は3月からシーズンインすることを2019年1月の地点で私の前任のDave元ヘッドコーチが決めました。
しかし、2019年の3月8日(シーズンイン前日!)に私をHCに昇格するとのことでしたので、3月分は私が作っていない為書式が少し違います。笑

ますはスケジュールを組むにあたってですが、基本は「逆算」「ピリオダイゼーション」、「ピーキング」です。


逆算」:目標とする試合から逆算して大まかなスケジュールを組みます。パイレーツはXリーグ所属で、春はパールボウルトーナメントがあります。まず春はその日程に合わせて作成する必要があり、8月の最終週には秋シーズンが開幕するであろうと仮定し年間スケジュールを組みます。秋の日程は2月の段階では未発表ですが、開幕時期は基本的に”例年通り”です。仮に1週程度のズレがあっても秋シーズンの練習開始時期で調整可能ですので、とりあえずは春から組みます。

ピリオダイゼーション」:期間分けを意味します。大きくは「準備期」と「試合期」に分けて考えますが、ピリオダイゼーションは年間を通じて考える方が良いのでまずは春の目標を定めます。
春は「控えも含めて全員が試合に出場すること」「試合期を設けずにフィジカルとファンダメンタル(基礎技術)向上重視」と設定しました。
これは2020年以降も2シーズン制度が継続されるのであれば変更する気はありません。何故なら、春に試合期を設定するとフィジカルとファンダメンタルが向上しないので長期的に見て進歩が無いからです。また全員を試合に出場させることにより、控えメンバーのレベル向上や新人選手の実力を見る良い機会になります。
選手一人一人がXリーグの中での自分のレベルの確認と目標設定をすることが、秋に向けてもう一伸びする大事な要素になってきます。また、試合の中でもチームや選手はどんどん成長するので、それを見逃さずに春の段階で適正な方向性を示す良い機会でもあります。
ただ、「勝つ」ことを目標にしない試合は面白くもないし成長も望めません。あくまで限定条件の中試合に「勝つ」ことを課題とします。

ピーキング」:どの時期に身体的コンディションをピークを持っていくかです。
Xリーグは秋は2週間に1回試合があるので、2週間を1つの区切りで考えます。
Week 1の土日は次回の対戦相手に向けての練習、Week 2が試合です。
土曜日が試合の場合は日曜日はオフもしくはビデオレビューとウォークスルー、トリートメントで回復に務めます。
ただ、試合出場が少ないもしくは全く無いメンバーはこの日に強度の高いウエイトトレーニングをすることが望ましいです。そうでもしなければ永遠にスターターとの差は埋まりません。
日曜日が試合の場合は前日の土曜日はフィールドで1時間程度の試合前練習になります。練習開始前にウォークスルーを20〜30分程。全体練習はヘルメットのみのスタイルでIndy 15〜20分、Teamをオフェンス・ディフェンスで15分づつでキッキングはメンバー確認程度。翌日に疲労を残さないことを心掛けて練習します。下の画像は一つの例ですが、試合前日の練習メニューです。

しかし、シーズンの開幕戦にピークを持っていくように調整はしていきますが、1ヶ月もすればフィジカルは落ちてくる感覚があります。そこで、シーズン中でも必ずウエイトトレーニングをメニューに入れて基礎筋力の維持をします。
新しい作戦やコンセプトをシーズン中にインストールする事は時間的にも難しいです。急に新しいことをやっても思った程の成果を得られないので、通年でフィジカルコンディションのレベルを落とさない事を意識します。
特にシーズン後半にはプレーオフ等大事な試合が多い為で、その試合に力を発揮出来なければそれまでの努力も水の泡になります。
あくまで扉を開くのは選手自身の力ですので、試合でベストを尽くせるようにスケジューリングすることがコーチとしての仕事です。

さて、上記の「逆算」「ピリオダイゼーション」「ピーキング」をもとに組んだ2019年春シーズンのスケジュールはこちらです。

4月21日から初戦が始まるので、3月9日開始は個人的な感覚からすると少し遅いです。理由としては12回の練習、内1回はPre Game Practiceなるのでスクリメージは出来ても6回程度。3月末の決算期と新人選手の研修や卒業旅行と重なれば人数が揃わないことも覚悟しなければいけないのです。これではオフェンスの完成度の高さは望めません。ですので2月の中頃からスタートが丁度良いかなと思います。2019年は3月の後半〜4月1週目に入ってからスクリメージを練習に入れています。

5月はGW後半に試合があるので秋と同じ2週間で1クールで組むことも出来ますが特にスカウティング材料も無いので(対戦相手はあるという不利)、前節の反省を活かしつつ通常運転。試合期間が空くので、次節までの間に大学や他チームとの合同練習を実施することもあります。
2020年からは2週間に1試合でのスケジュールになるので、合同練習は4月か6月、もしくは7月か8月となります。

1,2回戦の結果から6月8日が試合となりましたので、そこまでの期間はウエイトトレーニング、フィールドトレーニング、ファンダメンタルの強化を中心に行いました。また、昨年はビーチフラッグ世界2位、現在「走り革命理論」主催の和田賢一さんをお招きしスプリント講習を開催しました。https://www.youtube.com/channel/UCQN8LYY5hgOm7eYEz4YdwAQ

このように、春は個人スキルとフィジカルの向上に時間を使いました。
試合でのダメージは確実に身体に影響します。ウエイトトレーニングで扱う重量やスプリントのベストタイムも試合後はベストなど出るわけもないので、あくまで「秋の開幕戦にベストコンディション」を目指して春シーズンを過ごすことが全体論としては良いのではないかと思っています。
また怪我のリスク排除や秋シーズンに集中する為、祝日はなるべく練習をオフにして選手が家族や自分の時間を持つように心掛けました。全体はオフでも自主的にトレーニングをしてもらうという狙いもあります。
高校生、大学生、社会人と練習環境は違うのでベストなスケジュールの組み方は異なりますが、基本は同じだと思っていますので少しでも参考になれば幸いです。

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